2010年4月4日日曜日

まんがの作り方 2 感想

まんがの作り方 2 を読んだのでその感想〜。



まんがの作り方 2
・ 作者:平尾 アウリ
・ 出版社/メーカー:徳間書店
・ 発売日:2009/8/20
・ メディア:コミック

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まず、平尾アウリさんの絵、すごく好きです。百合関係なくても買っちゃうレベル。そして百合向きなタッチの絵だとも思う。ただ、漫画を構成にするには使い勝手が難しい絵柄なのかな、ともちょっと思います。キレイすぎるというか、派手な動きや表情が作りにくい感じがして。こちらの作品とは好対照かなと思います。言うまでもなく、どちらも大好きです!^^。この作品の対象とした題材は、漫画を描くという動きが出にくい実質的テーマで、百合という感情の機微を描くことが多い感情部分のテーマですので、アウリさんの絵柄の不利な部分を消してくれていると思います。絵柄にマッチした、設定、ストーリーなのだとと思います。(逆にこういう内容だから、絵柄をあわせているのかも。)
ちょっと読んで積ん読つもりだったのですが、雰囲気や感情をよみとる作品で複雑な説明もなく面白かったため、全部読んじゃいました。すごく説明が難しいですが、面白さのタイプが、最近見たり読んだりしているものと違うんですよね。もちろん少年漫画的でもないし、コメディでもないし、リアリティを追求している分けでもないし、男性向け百合(ってどんなだ^^;)とも違うし、日常を描いていてもいわゆる「ゆるい日常を描いた」感じでもない気がします。少女マンガとも違うよね(少女マンガだと括りが大きいですね...サブジャンルがわからないな〜)。面白さの出処ははっきり言葉に出来ませんが、ちゃんと百合を描こうとしている感がひしひしと伝わってくるというか。アウリさん自身、「百合」ってなんだろう、どういうことだろう、どう描けるだろう、って深く考えている気がします。なんとなく、ですが。
わたしの場合、2 巻をバッと読み終え、1 巻を読み直して 1 巻の評価がアップしました^^;。どうも主人公 2 人の関係の描き方が、彫刻を掘っているような感じがします。1 巻で外形がわかり、2 巻で輪郭が見えてきたような。その形が好みなようなので、石材から姿が現れるのを喜んで横で眺めているような。つまり、2 巻は 1 巻と補完関係にあって、1 巻を踏まえてよりキレイで好きな関係が描かれているように思いました。なので、テクニカルな部分は分かりませんが、1 巻、 2 巻でどちらがいいとは言えない感じです。となんとなく。
また、上にも書きましたが、逆に 2 巻を読んで 1 巻を読むと、感じ方が深まっていて評価が上がる感じでした。もちろん 2 巻で 1 巻の前のできごとを描いていて、そこが分かって感情がつかめるから良いという効果が大きいですが、登場人物のディティールが少し分かっているので、そこから来る深みもある気がします。まんがの作り方に関しては、2 巻の後に 1 巻を読み返すの、オススメです。
キャラクタというか登場人物としては、"先輩"、かっこいいですよね。2 巻になってだんだんかっこよくなってきたかも。結構サバサバしてるし。新しく出てきた武田さんも、いいな。主人公 2 人の関係はもちろんとして、武田さんと "先輩" もいいです。ぎくしゃくしつつ、ちょっと優しいのは、やっぱり...狙いがわかってても抗えない...^^。
主人公 2 人の関係は、先に書いたように、どのように感情が動いていくか、好きになるか、説得力を持たせるようかなり考えて描いている気がして好感が持てました(そう分析的に一歩ひいて見られちゃうのは、作り手としてはちょっとした失敗、なのかも知れないけれど^^;)。アウリさんって、そういう意味で、すごく誠実というか真剣な人ですよね、絵のタッチからも分かる気がしますが。
値段もお手頃ですし、かかる時間コストもアニメや小説に比べたら小さく、得られるもの(百合!かな^^)は同等かそれ以上なので、苦手属性(百合や絵柄かな?)がなかったら、オススメです